フランス語メモ

学んだフランス語を書き残す

お金は墓場に持っていけないということ

死期が近いわけではないけれど、この言葉を時々思い出す。スティーブ・ジョブズも晩年、この趣旨のことを言っていたとどこかで見た気がする。

この言葉はどういうことか。現実問題として、お金は大事である。全てではないが、大事であると、理科の先生が言っていた。他にそんなことを言う大人は当時周りにいなかったから、よく覚えている。お金は、ないときはないものである、という太宰治の言葉も思い出す。自分も、目の前の口座残高を見て、しばらく動けなかったことがあるから、その感覚はよくわかる。お金が全てではないにしても、好きなものに没頭していればよいのかといえば、そうではないということは、このことからもわかる。だが、多少なりとも生計を立てられるようになって思うのは、好きなものをお金のためにやめることは間違っているのではないだろうか、とは思う。食べられなかった頃に好きでやっていたものを、食べられるようになった頃にはやめてしまっていて、心の路頭に迷うことがある。見返りのためではなく行っていたことこそ、大事にしたほうがいいだろうと思う。自分と世界をつなぐ個人的なものを、公に昇華させることができることもあるが、昇華できない個人的なもののままでも、むしろそのほうが、意義深いことがある。尊いことがある。そのための時間をお金に換算して、公の誇りだけを目の奥に残して、死ぬのだろうか。

 

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